37-8 ●ネロ・ウルフシリーズ

料理長が多すぎる
レックス・スタウト

ミステリーの名作として名前は聞いたことがあったものの、古い作品ということもあり、いつか読もうとして忘れていた作品を他サイトの方に勧められて読みました。
名作は、忘れていても何度でも現れてくれるので、有りがたい。
ただ、このシリーズ、戦前から始まり、作者が亡くなったのは40年近く前という古さなので、手に入れるのは、大変でした。
ほんの2、3冊しか手に入らなかったものの、これだけでも手に入るのは、まさに名作だからだ、と言わずにはおれません。
それだけ古くて、全作揃うのなんて、アガサ・クリスティコナン・ドイルぐらいしか思いつかないもの。
ミステリー界の古典、では、なかろうか。

探偵は、部屋から出ずに事件を推理だけで解決するという安楽椅子探偵というジャンルがミステリーには、存在するが、ネロ・ウルフは典型的な安楽椅子探偵
美食と蘭の栽培を趣味として薀蓄の魅力もあります。
(しかし、安楽椅子探偵というジャンルは、どのあたりから始まったのだろうか。
シャーロック・ホームズが私立探偵の草分けだっただろうか、なんかの草分けだと聞いたのだが、ネロ・ウルフ安楽椅子探偵としては初期の方ではなかろうか。
・・・全然、知らない)

この作品は、安楽椅子探偵ともあろうネロ・ウルフが料理に釣られて出かけてしまっているので、例外らしいのですが、本来は、巨体にして出不精のネロ・ウルフは部屋から出ず、助手のアーチーが事件に身を投じていくというパターンらしいです。
まさか、これも小林少年(明智小五郎)の元ネタ?
(いや、知らないけど。)

原著タイトルは、Too many cooks
まず、船頭多けりゃ舟山登る、という諺を思い出しましたが、まさに料理人が多いとスープがまずくなるという諺から来ているそう。
シャレているが、別に料理人が多いが故の事件ではない。
でも、15人の料理長は、多いです。確かに。
(思っていることを綴っているだけなので、タイトルに文句があるわけではないですよ。むしろ、好きです。)

私は、まだまだ老眼という年ではないのだけど、日頃、ファンタジーや漫画を読んで目が甘やかされているのか、この文庫の字は、小さくて、すぐに目が疲れ、読むのに時間がかかりました。
やっぱ、年なのだろうか。嘆息。

作者自身が美食家だったそうで(そのわりには、長生きですね。)、この本に出てくる料理のレシピ本も出ているらしいのですが、翻訳されているか、今、手に入るかは不明。
おそらく手に入らないでしょうが、インターネットで公開しているサイトもあるという噂。