504-44 ★★★風が強く吹いている 三浦しをん

素晴らしいものを読んだよ。
本当に感動しました。
私は、映画を先に観ていて、先に見た媒体に天秤が傾く性格なので、映画の演出や設定は、とても良いと思います。
主人公の走(かける)の美しい目、透明感のある美貌、風のように走るフォーム、全て良いです。
でも、箱根を走る一人一人の心情や悩み、考え方は、原作の方が遙かに詳しく描かれています。
正直、映画のラストの走りは、やりすぎだと思いますし。
でも、もう一回、映画を見に行きます。
原作も映画もとっても良かった。こんな素晴らしい作品を読めてよかったです。
チグハグな十人ぎりぎりで箱根駅伝を目指すという、予測しやすいストーリーなのに、こんなにも美しい青春物語に仕立てられるなんて、素晴らしい。
箱根での一人一人の走りを通して、1人1人の人格や生い立ちなんかにもスポットを当てている方法も好感が持てます。

私は、映画のユキのルックスがわりと好みで、映画の方がユキは速いと設定されている気がします。
確かに何人か似たタイプの体格なので、ユキを速くするとキャラクターがすっきりしてくるかな、と思いました。
藤岡のキャラを修行僧から爽やかスポーツマンにしたのは、藤岡の個性が強すぎると主要キャラの個性が目立たないからだろうか。
原作は、それぞれの家庭の事情なんかもそれなりに詳しく書かれているのに、最後のシーンは、何年たったかもハッキリかかれていないし(推測可能)、二人以外のその後は言及していなくて、少し残念。

原作のおかげで、箱根駅伝の仕組みが分かったので、今度の駅伝は、絶対に見ます。
今までより面白く見られそう。