305-22天地明察

二年かかって図書館の順番が回ってきました。
冲方丁の小説って、あまり読んだことなかったけど、ライトノベルのイメージが抜けなくて、最初のあたりは、困った。
しかし、かなり面白い。
小説がどこまで正確かはわからないけど、思っていたのとは大分違っていた。
私の中の渋川春海は、碁の四家に生まれながら、
同時代に本坊因道策という大天才がいたために挫折し、
四十から天文の道に入って和暦を作成した人だった。
挫折が大成につながることもあるという塞翁が馬的な人だと思っていたが、小説ではちがっていた。
若い時から碁と平行して命令を受けてやっていて、40にして機が熟したという感じ?
関孝和という数学者の方が正確な暦を作っていたのだけど、春海の政治力に負けて採用されなかったと聞いていたけど、小説では、数学者としての孝和に春海はずっと憧れのようなものを持っている。お互い神社に奉納した絵馬だけを通して十何年も会わずに過ごす様は、恋のよう。
そして、主人の違いから孝和は春海の事業には参加できなかったか、密かに交友を持ち、大いに力を貸す。
春海が暦を作る前に渾天儀という地球儀の星図版を作るのだけど、小説の演出だと思うけど、これを腕に抱きかかえた人がよく死ぬ。しまいには、水戸光圀公が抱いて、やめ〜て〜と叫びそうになったが、とりあえず、そこでは死ななかった。
もう、お爺さんで出てきていたけど、若い頃は、兄を差し置いて家を継いだ鬱積から(お兄さんの方が思うところがあったろうが)、腕に覚えのあるものを狙って辻斬りをしていたという噂のある筋骨隆々の老人として描かれている。
そうか、黄門役は、里見浩太郎で正解だったのか・・・
春海は、後妻と同じ日に死んだとあるが、本当の死因は、よく分からない。史実は、どうなんでしょうね。